肩こりは、世代や性別を問わず多くの日本人を悩ませる症状のひとつで、もはや国民病と言っても過言ではありません。首から肩、背中にかけて筋肉がガチガチに固まってしまっている、という方にぜひおすすめしたいのが「肩甲骨はがし」です。肩甲骨はがしは、肩甲骨の周辺にある筋肉を緩め、肩甲骨が本来もつスムーズな動きを取り戻し、可動域を広げるエクササイズです。
この記事では、毎日のスキマ時間に取り入れやすい手軽な「肩甲骨はがし」と、その効果をより高めるストレッチをご紹介します。
- 教えてくれるのは…
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- オガトレさん
- 理学療法士・ストレッチ系YouTuber
宮城県生まれ。理学療法士として急性期病院にて、脳外科、整形外科、呼吸器、がん、スポーツ外来のリハビリに従事。その傍らトレーナーとしてインターハイや国民体育大会へ同行した。現在はYouTuberとして 「体が硬くて困っている人をゼロにしたい」を信念に動画を配信している。チャンネル登録者数は開始後8年目、170万人を突破し、今も日々伸び続けている。
YouTube:https://www.youtube.com/@ogatore
肩こりの原因と症状
肩こりは、首から肩、背中にかけての筋肉が過度に緊張し、血流が滞ることで引き起こされます。肩こりの主な原因は、以下のようなものが挙げられます。
姿勢の悪さ
パソコンやスマートフォンの長時間の使用、子どもの抱っこや授乳などの動作は、前かがみの姿勢(猫背)になることが多く、不良姿勢になりがちです。
運動不足
日常生活が便利になった現代では、意識的に歩いたり、階段を使ったりしないと慢性的な運動不足に陥りがちです。筋力の低下により血行不良を招きやすくなります。
ストレスや睡眠不足
ストレスのある生活や睡眠不足が慢性的に続くなどで自律神経が乱れると、無意識のうちに体に力が入り、筋肉の緊張状態が続いてしまいます。
このような原因で筋肉が凝り固まると、疲労物質が蓄積して神経を刺激し、「重い」「だるい」「痛い」といった不快な症状が現れます。ひどくなると、頭を締めつけられるような痛みが生じる緊張型頭痛や、吐き気、めまいなどを引き起こすこともあり、日常生活に大きな支障をきたすため注意が必要です。
肩甲骨まわりの状態をチェックしてみよう
首や肩、肩甲骨周辺にはたくさんの筋肉があり、それらの多くが肩甲骨にくっついています。肩甲骨周辺の筋肉の可動域が狭いほど、肩こりを感じる可能性が高くなります。まずは、自分の肩や肩甲骨まわりの状態をチェックしてみましょう。
1. 胸の前で、両腕の肘と手首をぴったりとくっつける
2. そのポーズのまま、腕をゆっくりと上げる
POINT:無理に力を入れたり、顔を下げたりしない。腰が反らないように意識しながら、あくまで自然に腕が上がる高さを確認する。
肩甲骨はがし3選
肩甲骨はがしは、張りつくように固まってしまった肩甲骨まわりの筋肉にアプローチします。肩甲骨が本来持っているなめらかな動きを取り戻すことで、血流の促進、肩こりの根本的な解消につながるとされています。
逆Tエクササイズ:菱形筋(りょうけいきん)
1. 座った状態で姿勢を正して、両脇をきゅっと締める
2. 腕は体の側面につけたまま、手のひらを上に向ける
3. 左右の手のひらを床に対して水平にしたまま、外側へ向かって開く。このとき、左右の肩甲骨をぐっと寄せて力を入れるイメージで動かしたら、元の姿勢に戻す
4. 自分が心地よいと感じるテンポで10回繰り返す
Wエクササイズ:菱形筋・僧帽筋(そうぼうきん)下部
1.両手を上げて、手のひらを内側に向けた「バンザイ」の姿勢をとる
2.左右の肘を背中側でくっつけるようなイメージで肘を下げる。手のひらは徐々に外側に向け、胸を大きく張る
3.Wのようなフォームをつくり、再びバンザイの姿勢に戻る
4.自分が心地良いと感じるテンポで10回繰り返す
カマキリエクササイズ:僧帽筋下部
1.座った状態で、腕を体の前に出して「前ならえ」の姿勢をとる
2.肘は伸ばしたまま、手のひらは下に向けて、手首の力はだらんと抜く
3.両腕を斜め45°に開き、手首から引き上げるイメージでゆっくりと両腕を上げる
4.手が頭のてっぺんくらいの高さになったら、ゆっくりと元の位置に腕を下ろす
5. 自分が心地良いと感じるテンポで3~4を10回繰り返す
肩甲骨はがしをより効果的にするストレッチ
肩甲骨はがしは、ストレッチとセットで行うことで、より高い効果が期待できます。ストレッチで表面の筋肉をしっかりとほぐし、肩甲骨はがしで深部の筋肉を動かすことで、よりスムーズに肩甲骨が動くようになります。首から肩にかけての筋肉を伸ばす2つのストレッチを組み合わせて行いましょう。
僧帽筋上部のストレッチ
1.左手の甲を腰(背中側)の右側に当てる
2.右手を上げ、頭の上を通って、左耳の少し上あたりに指先を少し立てるようにして添える
3.顎を軽く引き、右手で頭を真横に向かってゆっくりと引っ張り、リラックス&深呼吸をしながら30秒キープ
4.反対側も同様に行う
肩甲挙筋(けんこうきょきん)のストレッチ
1.座った状態で、左手を右太ももの上に置く
2.右手を頭の左後ろに置く
3.右斜め前(右太ももに置いた手を見るような角度)に向かって、頭をゆっくりと引っ張り出し、顔を下げる。リラックス&深呼吸をしながら30秒キープ
4. 反対側も同様に行う
肩甲骨はがし・肩こりストレッチのポイントと注意点
ストレッチや肩甲骨はがしの効果をさらに高めるために、気をつけたいポイントをご紹介します。
スキマ時間にこまめに取り入れよう
肩甲骨はがしやストレッチが最も効果的なのは、お風呂上がりのタイミングです。血行が良くなり、筋肉がほぐれやすくなっているため、無理なく可動域を広げることができます。ただし、1日1回お風呂上がりに行うよりも、1日数回気が向いたときに行う方が効果的です。デスクワークのスキマ時間など、自分が無理なく継続できるタイミングでこまめに取り入れてみましょう。
痛みを感じるほど伸ばしすぎない
ストレッチの強さは、「痛気持ちいい」と感じる程度が最適です。無理に強く引っ張ったり、痛みを我慢して激しく動かしたりすると、筋肉の繊維を傷めてしまいます。心地よさを感じる範囲で行いましょう。
肩こりの予防方法
こまめに体を動かす
長時間の同じ姿勢は、筋肉を硬直させます。デスクワーク中も可能なら30分に1回、最低でも1時間に1回は立ち上がって軽く伸びをしたり、肩を回したりして筋肉の緊張をこまめにリセットしましょう。その後、座ってから、前述のストレッチや肩甲骨はがしを取り入れるとより効果的です。
デスクワークの環境を整える
パソコンを操作する際、デスクの高さが低いと目線が下がって猫背になりやすくなります。パソコンやモニターの高さを、猫背にならない位置まで高くするのがおすすめです。また、小さなパソコンを使用していると、目を近づけることで猫背になりやすくなるため、大きめのパソコンやモニターで作業することが理想的です。
湯船に浸かって体を温める
冷えは血管を収縮させ、血行を悪くします。そのため、毎日湯船に浸かって血行を改善するだけでも、肩こりの緩和に効果的です。リラックスすることで自律神経も整います。
肩こりがなかなか改善しない場合の受診目安
以下の症状が伴う場合は、単なる筋肉疲労による肩こりではなく、別の病気が隠れている可能性があります。
- 肩甲骨はがしやストレッチを毎日続けても一向に改善しない/悪化している
- 腕や手指にしびれがある、力が入らない
- めまいや吐き気、激しい頭痛を伴う
- 痛みが激しく、日常生活に支障をきたしている
これらの症状が見られる場合は、自己判断で無理に動かすことは避け、早めに医療機関を受診しましょう。
肩こりのストレッチに関するよくある質問
Q. どれくらい続けたら効果が期待できる?
A. 肩甲骨はがしやストレッチは、1回行えばすぐに肩こりが完治する、というような即効性はありません。筋肉の硬さには個人差がありますが、一般的に2週間程度で変化を感じやすいといわれています。そこから4~6週間ほど続けると、効果が定着して姿勢が良くなったり肩こりを感じにくくなったりするため、まずは1か月~1か月半を目標に継続してみましょう。
Q.ストレッチのみでは解消できない肩こりって、どんな肩こり?
A. 長期間にわたって症状が改善せず、腕や手のしびれ、腕が上がらないほどの筋力低下などを伴うような肩こりは、肩甲骨はがしやストレッチだけでは解消できません。このような場合は「頸椎椎間板ヘルニア」や「頸椎症性神経根症」「四十肩・五十肩」など、骨や関節、神経に炎症や異常が生じている可能性もあります。また、ごく稀ですが内科的な疾患(高血圧や心疾患など)が原因で背中や肩に痛みが現れることも。
不安がある場合は、無理にストレッチを続けず、速やかに専門の医療機関を受診してご相談ください。