夏になると増える虫刺され。「かゆみが何日も続く」「気づいたら跡が残っていた」「子どもが患部を掻きこわしてしまった」という経験はありませんか? 虫刺されは、刺された直後の適切なケアや、虫よけ剤などによる予防が大切です。この記事では、虫刺されによる皮膚へのダメージや塗り薬、虫よけ剤の正しい使い方について詳しく解説します。
- 教えてくれるのは…
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- 稲澤 美奈子先生
- 小杉町スキンクリニック院長
金沢大学医学部卒業後、東京医科歯科大学 助教(外来医長)を経て、2020年より小杉町スキンクリニック勤務。日本皮膚科学会 認定皮膚科専門医、医学博士。発汗異常など汗の疾患の治療を専門とし、子どもから高齢者まで幅広い世代の悩みに寄り添う皮膚科医。
[監修者]稲澤 美奈子先生:https://yism.or.jp/kosugicho/about/doctors/
小杉町スキンクリニック:https://yism.or.jp/kosugicho/
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- アース製薬株式会社
1925年設立。経営理念に「生命(いのち)と暮らしに寄り添い、地球との共生を実現する。」を掲げ、虫ケア用品や入浴剤、オーラルケア用品など人々の健康で快適な暮らしを支える幅広い製品を展開。
アース製薬株式会社:https://www.earth.jp/
虫刺され跡が残るのはなぜ?原因と避けたいNG行動
虫刺されの主な原因となるのは、蚊やイエダニ、ときにマダニなどで、日常生活で遭遇しやすい虫です。これらのほかに、レジャー先では、ハチ、アブ、ブユ、毛虫などにも注意が必要です。
虫刺されによるかゆみや腫れには、虫の毒液や唾液に対するアレルギー反応が関係していて、刺されて数時間以内にすぐに現れる「即時型反応」と、数日後に現れる「遅延型反応」があります。
特に子どもは虫刺されの経験が少なく、免疫を獲得していく過程にあるため、遅延型反応が強く出やすく、かゆみや腫れが長引くことがあります。
また、虫刺されは「跡が残る」という悩みも起こりやすいもの。虫に刺されて体がアレルギー反応を起こすと、皮膚に炎症が生じます。炎症が起きると、皮膚を守るためにメラニン色素をつくる「メラノサイト」という細胞が活性化し、メラニンが過剰に産生されます。本来なら皮膚の生まれ変わり(ターンオーバー)で排出されるはずのメラニンが皮膚の奥に残ってしまうと、茶色いシミのような虫刺され跡として残ってしまうことがあるのです。
患部を掻きこわしてしまうと、皮膚や毛細血管が傷つき、炎症が長引いたり慢性化することがあります。その結果、過剰なメラニンによる色素沈着が起こりやすくなり、出血なども混じると黒ずみの原因になることもあります。虫刺され跡は、掻きこわしによって生じるだけでなく、虫刺されによる炎症そのものが強い場合にも、色素沈着によって跡として残ることがあります。
要注意!シミになりやすいNG行動
皮膚への強い刺激は、色素沈着を悪化させる原因になります。以下のような行動に気をつけましょう。
- 爪で強く押す
- 叩く
- 掻きむしる
また、血行がよくなるとかゆみを感じやすくなります。かゆみが強い場合は、冷やしたタオルなどで患部を冷却すると、症状が和らぐことがあります。
虫刺され薬の主な成分と正しい塗り方
主な市販の虫刺され薬は、かゆみを鎮める「抗ヒスタミン配合薬」と、炎症を抑える「ステロイド成分配合薬」の2種類があります。症状に応じて、以下のような成分を目安に選ぶとよいでしょう。
抗ヒスタミン成分
かゆみの原因となるヒスタミンの働きを抑えるため、軽めのかゆみ・赤みがあるときに使用する。
代表例:ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミンなど
ステロイド成分
抗炎症成分のため、強いかゆみのほか、赤みや腫れ、水ぶくれがあるときに使用する。
代表例:ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾンなど
虫刺され薬を正しく塗るために知っておきたいこと
虫刺され薬は、かゆみや炎症をできるだけ素早く抑えるためにも、早めに使用することが大切です。また、用法・用量を守って使用することも重要です。かゆみが強いからといって何度も塗れば早く治るわけではありません。人によっては市販薬に含有される成分により、かえってかぶれを起こす「アレルギー性接触皮膚炎」が生じることも知られています。
市販薬の添付文書に記載された回数や使用方法を守り、症状が改善しない場合は皮膚科を受診しましょう。
虫よけ剤の正しい使い方と効果を高めるコツ
虫よけ剤を上手に使って、虫刺されそのものを防ぐことも大切です。蚊、ノミ、トコジラミ、アブ、ブユ、マダニといった「吸血害虫」は、人間や動物が発する炭酸ガスや体温、湿度、匂いなどを感知して吸血対象を見つけます。人体用虫よけ剤は、有効成分によって吸血害虫の感覚器官を混乱させ、人や動物を認識しにくくする効果が期待できます。
ディート
50年以上前から使用される世界基準の成分。蚊やマダニだけでなく、ノミやサシバエなど幅広い害虫に対応。生後6か月未満は使用不可。
対象害虫:蚊、マダニ、ノミ、サシバエ、トコジラミ、ツツガムシなど
イカリジン
2015年に国内承認された成分。年齢制限なく使えるが、対応できる害虫の種類はディートより少ない。
対象害虫:蚊、ブユ、アブ、マダニなど
虫よけ剤の効果を高める使い方
虫に刺されないためには、肌の露出が少ない服装を選ぶほか、虫よけ剤をうまく活用することが重要です。下記のような点に注意しながら、効果のある使い方をしましょう。
- 肌の露出部分に塗りムラがないよう塗り広げる
- 顔や首は手に取ってから塗る
- 日焼け止めを塗った上から、虫よけ剤を使用する
- 汗をかいた後やタオルで拭いた後は塗り直す
虫よけ剤にはさまざまなタイプがあり、それぞれの特徴を活かして使用することが大切です。
- エアゾールタイプ:スプレー缶で素早く、広範囲に噴射できるので楽に塗れる
- ミストタイプ:広範囲に塗りやすい。噴射剤を使用していないので、引火リスクが低い
- シートタイプ:持ち運びしやすく、外出時の携帯用にも便利
子どもに使うときの注意点
虫よけ剤を子どもに使うときにも、塗りムラがないよう注意しながら、肌の露出部分にまんべんなく塗りましょう。製品によっては年齢による使用制限があるため、製品表示に従って安全に使用しましょう。また、エアゾールやミストタイプの製品は、吸引や目への刺激を防ぐために、直接肌に噴霧せずに、いったん大人の手に取ってから、子どもの肌に軽くはたくようにして塗る方法がおすすめです。
虫よけ剤と虫刺され薬のQ&A
虫に刺された後は、温めるor冷やす、どちらが正解?
虫に刺された後は患部を冷やすのが基本です。冷やすことで血管が収縮し、かゆみ、腫れ、炎症を鎮める効果が高まります。保冷剤や冷たい水で濡らしたタオルなどで患部を抑えましょう。逆に温めると、血流がよくなり、かえって痛みや炎症が悪化することがあるので注意しましょう。
去年開封した虫刺され薬は今年も使える?
開封後は品質が低下する可能性があるため、製品の使用期限を確認し、古いものは買い換えを検討しましょう。目安として半年ぐらいで交換するといいでしょう。
虫刺され薬は家族で共用してもいい?
感染症のリスクを考慮すると、基本的には家族での共有は避けるのが安心です。やむを得ず共有する場合は、綿棒で手に取るなどして、チューブや容器内に雑菌が入り込まないよう注意しましょう。
市販の虫刺され薬と、医療機関の処方薬の違いは?
主な違いはステロイドの強さです。病院では症状に応じて、市販薬よりも強力なステロイド外用薬を処方できるほか、子どもの場合でも期間を定めて強めのステロイド外用薬を使用することもあります。また、短期間の内服ステロイドや内服抗ヒスタミン薬も処方可能で、市販薬で改善しない場合は病院の方が早く改善が期待できることがあります。
市販薬でかゆみが引くケースもありますが、症状が1週間以上長引く場合や、ぶつぶつが広がってくるような場合には、皮膚科での治療が必要になることがあります。痛みやかゆみが強い場合も、我慢せずに皮膚科を受診してください。
予防&早めのケアで、虫刺されダメージを引きずらない夏に
虫刺されは、かゆみや炎症を長引かせないことが大切です。刺されたら患部を冷やし、症状に合った虫刺され薬で早めに対処しましょう。かゆみが続く場合や、強い腫れ・熱感・膿などがある場合は皮膚科を受診してください。また、虫よけ剤を正しく使い、塗りムラや塗り直しにも注意することで、虫刺されそのものを予防できます。日頃から適切なケアと予防を心がけ、夏を快適に過ごしましょう。