疲れた体をじんわりほぐす「蒸しタオル養生」のすすめ

疲れた体をじんわりほぐす「蒸しタオル養生」のすすめ

なんだか体がダルい、気分が晴れない……そんな“なんとなく不調”を抱えている人は、体が冷えて固くなっているかもしれません。

今回は、お灸と養生の専門サロン「お灸堂」を営む鍼灸師・鋤柄(すきから)さんに、自宅で手軽にできる「蒸しタオル」を使った養生法を教えてもらいました。温かさが長持ちする「スーパー蒸しタオル」のつくり方、不調別の温め部位などをご紹介します。

教えてくれるのは…
鋤柄誉啓(すきから・たかあき)さん
鋤柄誉啓(すきから・たかあき)さん

鍼灸師。お灸堂院長。ENJOY OKYU CLUB主催。明治国際医療大学にて鍼灸師の国家資格を取得後、2013年、お灸による施術と養生の指導を行う鍼灸院「お灸堂」を京都で開院。自院での臨床のかたわら「すきさん」の名義で楽しく続けられるお灸や養生のコツをTwitter(現X)で発信。テレビやラジオへの出演、雑誌コラムの執筆、お灸にまつわる商品の企画・販売など幅広い活動を行っている。著書に『ゆるませ養生』(大和書房)、『絵でわかる京都・お灸堂のほどよい養生 すぐできて、体が整う手当てと習慣150』(学研プラス)、『心と体をゆるめて、すっきり巡る まいにちのお灸と養生』(ナツメ社)、『メンタル養生 体を整えて「心の不調」をラクにする』(ダイアモンド社)など。
 
X:https://x.com/sukikara_okyudo

「蒸しタオル養生」とは

疲れがたまって体がこわばったり、こりや冷えを感じたりするときにやってみてほしいのが、「体を温める」ことです。お灸や入浴、サウナなどさまざまな温め方がありますが、暮らしのなかで無理なく続けられるのが「蒸しタオル養生」だと、鋤柄さん(以降、すきさん)は話します。

すきさん
すきさん

昔から、日本人は体を温めるのが大好きだったようです。昔は、お灸の原料となる「もぐさ」が豊富にあったため、自分を養う手段として「お灸」が市民の間に広まったと言われています。時代は変わり、私たちは身近な道具で自分を養生できるようになりました。
 
「蒸しタオル養生」は、電子レンジと綿100%タオルがあれば手軽に体を温められる方法です。なんとなく不調で体が固くなっている人、毎日頑張りすぎていると感じている人は、ぜひ試してみてください。

手軽さ以外にも、蒸しタオル養生にはこんな特徴があります。

  • 温めたい部位に、ピンポイントでじんわりと熱を伝えることができる
  • 蒸気を含む熱によって、体の深部まで温めることができる
  • 時間とともに冷めていくため扱いやすい。ただし、熱すぎる状態や長時間の使用はやけどの恐れがあるので注意する

湯船に浸かりたいけれど、そこまでの体力と気力がない…。そんなときにも、蒸しタオルなら手軽かつピンポイントに弱っている部分をケアすることができます。

すきさん
すきさん

私たちは、体も心も循環している状態を心地良く感じる特性があります。たとえば、運動して血行が良くなる、お通じが良くなる、もやもやとした心の不安が解消される…これらはすべて滞っていたものが巡ったから「気持ち良い」と感じられる現象なんです。つまり、気持ち良いと感じられること自体が、滞っていたものが巡っているサインとも考えられるのです。
 
東洋医学には、『不通則痛(通じざれば、すなわち痛む)』という言葉があります。体の中で気血の流れが悪くなると、その部分に痛みが生じるという理論です。熱には滞っているものを動かす力があるので、蒸しタオル養生で気持ち良く巡らせていきましょう。

「スーパー蒸しタオル」のつくり方

温かさが10分ほど続く「スーパー蒸しタオル」のつくり方は、以下の通りです。

  1. 薄手のタオルを2枚重ねて水で濡らし、しっかりと絞る(化学繊維素材のタオルはNG)
  2. ①を電子レンジで温める(目安:600Wで1分)
  3. 2枚のうち1枚のタオルを、触れても手で持てるくらいまで冷ます(もう1枚はそのまま)
  4. 温かいタオルを③のタオルで包む
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すきさん
すきさん

熱いタオルを芯にすることで、温かさが長持ちします。スーパー蒸しタオルにおすすめなのは、温泉や銭湯によくある綿100%のタオルです。面積が小さいハンドタオルや薄手のてぬぐいなどは冷めやすく、化学繊維素材のタオルは発火の危険があるので使わないようにしましょう。

蒸しタオルは素肌に直接当てて使えますが、背中など手が届きにくい部位に当てたいときには、チャック付きビニール袋に蒸しタオルを入れて、その上に寝転んでもOK。これなら衣服を濡らす心配もありません。

1箇所を温めるのは、10分以内を目安に!

すきさん
すきさん

すっきり目覚めたい朝、リフレッシュしたい日中、1日の疲れを癒したい夜にと、いつでも取り入れられるのが蒸しタオル養生の魅力のひとつです。
 
ただ、長時間にわたって同じ箇所を温め続けてしまうと、湯あたりのような状態になって体力を消耗してしまいます。温める時間の目安は、1箇所あたり10分程度としておきましょう。毎日行っても良いですが、週3〜4回ほど取り入れるだけでも、だいぶ調子が良くなるはずです。

また、蒸しタオルは小さなお子さまにも使っていただけますが、熱さを自分の口で伝えることができる年齢になってから始めましょう。

お悩み別!蒸しタオルで温める部位5選

蒸しタオルは、自分の体に触れてみて、固さや冷え、しんどさを感じる部位に当ててみましょう。まだ感覚がつかめず、どこを温めたらよいか迷ったら、以下の5つの部位を参考にしてみてください。

目の疲れや使い過ぎには「後頭部」

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すきさん
すきさん

後頭部の髪の生え際あたりに触れると、首の左右にくぼみがあります。このくぼみを覆うように蒸しタオルを当ててみてください。目を動かすときによく使う筋肉が集まるここを温めると、目が開きやすくなり、視界もクリアに感じやすくなるでしょう。

こんな人におすすめ!

  • 長時間のデスクワークを頑張っている人
  • 目の疲れをすっきりさせたい人
  • 手始めに蒸しタオル養生の気持ち良さを感じたい人

足の重だるさや冷え性には「おへその下」

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すきさん
すきさん

腰や股関節まわりが固くなり下半身の血流が悪くなると、足のだるさや冷えを感じやすくなります。そんなときは、おへそから指4本分下の部位に蒸しタオルを当ててみましょう。内股や膝あたりから膝下、足首に向かってだんだん温まってくる感覚を味わってください。

こんな人におすすめ!

  • 疲れがたまって、下半身に重だるさを感じている人
  • 足首が冷たくなっている人
  • 生理痛やPMSなど、お腹周りにしんどさを感じている人

食べ過ぎやストレスで胃が不調なら「肩甲骨の下」

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すきさん
すきさん

食べ過ぎやストレスによって自律神経の不調が出てくると、胃がキリキリと痛み、肩甲骨の下あたりが固くなってきます。そんなときは、背中を温めてハリをほぐすと、すっきりとした感覚になります。食欲がなかったり、胃もたれを感じたりしているときにもいいですよ。また、背中のハリは、首肩こりや眠りの深さにも影響している場合があるので、迷ったらここを温めてみましょう。

こんな人におすすめ!

  • 日頃からストレスを感じている人
  • 食欲不振や胃もたれに悩んでいる人
  • リラックスした気分を味わいたい人

鼻の不調には「額の生え際」

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すきさん
すきさん

鼻水が止まらなかったり、鼻の通りが悪かったりすると、呼吸も浅くなり苦しいですよね。そんなときは、眉間から指4本分上にある、額の生え際あたりに蒸しタオルを当ててみましょう。元気いっぱいでなかなか落ち着かないお子さまにもおすすめです。

こんな人におすすめ!

  • 花粉症やアレルギー、慢性鼻炎に悩んでいる人
  • 寝ているときや起きがけに鼻がつまりやすい人
  • 小さいお子さまの蒸しタオルデビューに

風邪の引き始め、予防には「肩甲骨の上」

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すきさん
すきさん

風邪の引き始めに、ゾクゾクと冷えや肩こりに似た症状を感じたら、首を前に倒したときに出っ張る大きな背骨の下、肩甲骨の少し上あたりを温めましょう。ここは、風邪の引き始めに固くなりやすい部位。風邪の予防にもなるので、日頃から温めておきましょう。

こんな人におすすめ!

  • ゾクゾクとした寒気を感じた人
  • 風邪を予防したい人
  • 肩まわりがこわばって、疲れが取れていないと感じている人

蒸しタオルで手軽に「気持ち良い」感覚を思い出そう

蒸しタオル養生に、「何度で何分温めないといけない」といった厳密なルールはありません。慣れてくると、自分にとって心地良い温かさがわかってくるとのこと。あなたが心地良いと感じる温度をぜひ見つけてみてください。

すきさん
すきさん

疲れていると、それまで楽しかったことが楽しめなくなることもあるでしょう。これは、もうこれ以上心身に苦しさを感じさせないように、あなたの体と心が感覚を鈍らせているからなんです。
 
現代人はさまざまな場面で苦しんでいる人たちが多いように感じます。頑張ること、強くなることに慣れてしまうと、「まだ足りない」と身を削ってしまう人もいるんですよね。
 
そんなときこそ、蒸しタオル養生で気軽に「気持ち良いなぁ〜」という感覚を思い出していきましょう。つねに考え事をしている人や、気が散ってしまいやすい人にも、ぜひ取り入れてほしいですね。

体と心の声に耳を傾けてみよう

「養生」と聞くと難しいように感じる方もいるかもしれませんが、自分の体と心が喜ぶことをしてあげるのが、最初の一歩になるようです。自宅でできる「蒸しタオル養生」は、手軽なのに確実な、現代人におすすめのセルフケア。さっそく今日から、体も心も自分自身でゆるめていきましょう。

CREDIT
取材・文:HELiCO編集部+ノオト イラスト:福田玲子
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