葛根湯の効果とは?薬剤師に聞く正しい服用方法と注意点

葛根湯の効果とは?薬剤師に聞く正しい服用方法と注意点

葛根湯(かっこんとう)は、風邪の初期症状に効果があるとされる漢方薬です。寒気や関節痛、頭痛、首の後ろから背中にかけての筋肉のこわばりといった症状を和らげ、風邪の進行を防ぐのに役立つとされています。

本記事では、アイセイ薬局グループの薬剤師が、葛根湯の効果や適切な服用タイミング、服用時の注意点などについて解説します。

教えてくれるのは…
宇喜多 和美さん
宇喜多 和美さん
アイセイ薬局グループ 薬剤師・漢方アドバイザー

大学卒業後、大手製薬会社のMR・老舗漢方薬局の相談業務などを経て、アイセイ薬局グループが運営するオンライン漢方相談サービス「わたし漢方」に勤務中。豊富な経験や知識を基に女性の生活やライフステージに寄り添った漢方の提案を通して、体質改善のサポートをしている。
 
[監修者]宇喜多 和美さん:https://page.line.me/jrw6198k/showcase/1361418198754729/item/1371804436865565
わたし漢方:https://www.watashikampo.com/service/

葛根湯は、どんな症状に効果がある?

葛根湯は「風邪のときに飲む薬」というイメージを持っている方もいるのではないでしょうか。実際に、症状に合わせて適切なタイミングで葛根湯を服用することで、つらい風邪の初期症状や不調を和らげる効果が期待できます。ただし、どんな風邪や不調にも万能というわけではありません。葛根湯が効果を発揮する症状をご紹介します。

葛根湯が効果を発揮するのは「風邪のひき始め」

具体的には以下のような症状・状態のときに用いられます。

  • なんとなく寒気がする
  • 首の後ろや背中、肩がこわばる
  • 風邪の症状はあるが、まだ汗は出ていない
  • 関節痛や筋肉痛、頭痛がある

葛根湯は、体を温め血の巡りをよくすることで、体が本来持っている回復力を助け、症状の悪化を防ぐ効果が期待できます。また、東洋医学においては、その人の体質を表す「証(しょう)」というものがあり、葛根湯は比較的体力がある証(実証:じっしょう)の人に効果的といわれています。

宇喜多さん
宇喜多さん

葛根湯は、風邪が進行しないように、初期の段階で食い止めるような漢方薬です。

寒気がする・肩がこわばる・頭痛などの症状がある

肩こり・頭痛にも効果が期待できる

これは、葛根湯に含まれる生薬(しょうやく)によって血の巡りがよくなり、首や肩まわりの筋肉の緊張が和らぐためです。特に、首から肩にかけてこりが強い場合や、冷えや緊張が原因で頭痛が出ている場合には、葛根湯が合うことがあります。

宇喜多さん
宇喜多さん

ただし、葛根湯は、予防を目的に長期間にわたって服用する漢方薬ではありません。また、肩こりや頭痛の改善には、根本的な原因を見極めることが大切です。原因がきちんとわかれば、それに対して葛根湯以外の漢方薬を用いて、肩こりや頭痛の起こりにくい体づくりをサポートすることもできます。

葛根湯の副作用や注意点はある?

葛根湯を服用した際には、以下のような副作用が現れる可能性があります。

  • 発疹
  • 肌の赤み、かゆみ
  • 不眠
  • 発汗過多
  • 動悸、頻脈
  • 食欲不振、胃の不快感
  • 悪心、嘔吐など

これらに加えて、尿量の減少、むくみ、倦怠感、手足の脱力感・しびれ、皮膚や白目が黄色くなるといった症状が出た場合は、すぐに服用を中止し、医療機関の受診を検討してください。

宇喜多さん
宇喜多さん

これらの副作用は必ずしも出るものではありません。まずは用法用量を守って、適切に使用をして様子をみてください。ただし、胃腸がとても弱い方は消化器症状が出る可能性が高まるので、心配な場合には事前に医師や薬剤師に相談していただくとよいと思います。

葛根湯はいつ飲む?どんな飲み方が正解?

症状が出始めたら、早めの服用がおすすめ

葛根湯は、「ちょっと体調がおかしいな、このままだと風邪をひきそうだな」と感じた段階で、早めに飲むのがポイントです。風邪の初期症状を自覚して数日経ってから飲み始めても、そのときには葛根湯が効果的なタイミングをすでに逃している可能性があります。

宇喜多さん
宇喜多さん

葛根湯は飲むタイミングがとても重要な漢方薬です。葛根湯は家に常備し、風邪の気配を感じたとき、すぐに服用できるようにしておくとよいでしょう。

食前・食間が勧められる理由

最適な服用タイミングについては諸説ありますが、一般的に胃のなかのpHが低い(酸性が強い)状態のほうが、葛根湯が緩やかに吸収されるといわれており、副作用が出にくくなると考えられています。そのため、葛根湯は、空腹で胃のなかのpHが低い食前や食間に飲むようにしてください。

※「食前」は食事を摂る20~30分前(胃の中に食べ物がない状態)、「食間」は食事を終えてから2時間後(食事と食事の間)を目安とします。

「食間」「食後」っていつのこと?薬の正しい服用タイミングを知ろう
多くの薬には、それぞれ「服用するタイミング」が決められています。しかし「食前」や「食後」、「食間」といった指示が、具体的にいつを指しているのかわからないという方も多いのではないでしょうか。 この記事では、服用のタイミングが定められている理由や、正しい服用のタイミングについて解説します。
https://www.aisei.co.jp/helico/medicine-pharmacy/when-to-take-medicine/
宇喜多さん
宇喜多さん

ただし、一番大切なことは1日で必要量の葛根湯を服用することです。空腹時の服用が望ましいですが、それでは1日3回の服用を満たせないときは、タイミングにこだわらず、3回服用することを第一優先としてください。

また、1日3回の服用の場合、服用間隔は4時間以上空けるようにしてください。

葛根湯の正しい服用期間は?

市販の葛根湯を服用する場合、風邪の初期に5~6回程度服用しても症状がよくならなければ、服用を中止して医師や薬剤師に相談してください。また、発汗が始まったら服用はやめるようにしましょう。

葛根湯の服用にあたって、相談が必要なケースはある?

妊娠中・授乳中の場合

漢方薬は、妊娠中、授乳中でも医師の指導のもと安全に使用できるものもあります。しかし、体への影響はきちんと考慮する必要があるため、葛根湯も自己判断で服用せず、必ず医師や薬剤師に相談してください。

高齢者あるいは胃腸が弱い、体が小さい場合

高齢者や胃腸が弱い方、そして体が小さい(体表面積が少ない)方は、副作用が出る可能性が高くなると考えられています。医師や薬剤師に相談のうえ、副作用が出ていないかをたしかめながら服用する必要があります。

持病がある方

高血圧や腎機能障害、甲状腺の病気の方、狭心症や心筋梗塞のような循環器系の病気を経験したことがある方も、注意が必要です。葛根湯に含まれる生薬「麻黄(まおう)」には交感神経を刺激する働きがあるため、これらの病気に影響を及ぼす可能性があります。

薬剤師から葛根湯を受け取る親子

葛根湯が効きづらい、処方の対象とならないケースは?

風邪が初期段階よりも進行している場合

葛根湯は風邪の初期に用いられる薬のため、すでに症状が進行している場合には、別の漢方薬が適応になります。東洋医学では、病気の進行段階を表す「六病位(ろくびょうい)」という考え方があり、風邪の発症から約4〜5日程度で、次の段階に進むと考えられています。悪寒や関節痛、頭痛などを経て、口のなかの苦みや粘り、食欲不振、吐き気などが生じ始めると、初期段階からさらに進んだ状態と判断されます。

汗をかいている/体に熱がこもっている場合

葛根湯は、体を温めて病気を引き起こす原因とされる病邪(風邪の場合はウイルスなど)を発散させて除くことで効果を発揮します。そのため、風邪ですでに汗が出ている場合は、風邪の初期段階であっても葛根湯以外の漢方薬を使用します。

また、喉の腫れ、黄色く粘り気のある鼻水や痰、目の充血、口の乾きといった症状などが出ている場合は、東洋医学では「体に熱がこもっている」とされ、葛根湯の使用対象にはなりません。

葛根湯に関するよくある質問

薬の飲み合わせは?一般的な薬と一緒に飲んでも大丈夫?

すでに風邪薬や持病の薬を服用している場合、飲み合わせに注意が必要です。特に、葛根湯に含まれる麻黄や甘草(かんぞう)の入った薬と併せて摂ると、副作用が出やすくなることがあります。服用中の薬がある場合は、必ず医師や薬剤師に伝えるようにしましょう。

宇喜多さん
宇喜多さん

サプリメントを摂取している場合もきちんと伝えましょう。メーカーにより成分の含有量が異なるので、実際の商品を提示すると、より正しい指導が受けられます。

市販の葛根湯と、病院で処方される葛根湯の違いは?

市販薬は誰でも購入できるため、より安全性を考慮して成分量がやや少なめに配合されている場合があります。同じ漢方薬名であれば基本的な生薬の構成は同じですが、メーカーによっては配合が多少アレンジされていることもあるため、不明点があれば漢方薬に詳しい薬剤師がいる薬局などで相談してみましょう。

漢方は一般的な薬(西洋薬)と、どう違う?

一般的な薬(西洋薬)は、基本的には発熱や痛みなどの特定の症状を抑えることを目的として、単一(あるいは少数)の成分でつくられるものが多いです。一方、漢方薬は複数の生薬から成る複合成分で構成され、それらの成分が複数の症状(標的)に対して作用します。

宇喜多さん
宇喜多さん

西洋薬は1つの病気や症状に直接的に作用するのに対して、漢方薬は「証」と呼ばれるその人の体質や、症状の現れ方に合わせて体全体の調和をはかるイメージです。

粉末、液体、錠剤などの違いによって、葛根湯の味や吸収の速さは異なる?

基本的に、葛根湯であれば同じ生薬を配合しているため、味に大きな違いはありません。ただし、生薬の産地はメーカーによって異なるため、微妙に味が異なると感じる可能性はあります。吸収に関しては、粉末タイプよりも、液体タイプ(ドリンク)のほうが吸収は速いとされ、錠剤タイプは最も吸収速度がゆるやかです。

宇喜多さん
宇喜多さん

生薬を刻んで水で煮出す「煎じ薬」は、生薬の成分を余すことなく使えるため、最も効果が高いと考えられています。体を温めるためにも、煎じ薬や顆粒タイプの葛根湯をお湯で溶かして飲む「温服(おんぷく)」がおすすめです。

温服(おんぷく)をしている女性

子どもに飲ませても大丈夫?

葛根湯は子どもも服用できますが、年齢や体重によって用量が異なります。市販薬を使用する場合でも、メーカーごとに添付文書に記載されている用量が異なるので、必ず対象年齢や用量を確認してください。不安があれば、医師や薬剤師に相談しましょう。

宇喜多さん
宇喜多さん

風邪のひき始めの「悪寒」などの症状を言語化できないお子さんもいます。特に小さなお子さんにとっては、風邪の初期のタイミングで葛根湯を服用することは難しいかもしれません。すでに葛根湯が対象となる段階ではないことも考えられ、その場合は別の漢方薬が使用されます。

薬のことで迷ったら、薬剤師に相談を

病院に行くべきサインは?

前述の通り、風邪の初期に5~6回程度服用しても症状が良くならない場合や副作用が生じた際は、医師や薬剤師に相談してください。また、漢方薬(生薬の成分)にアレルギーが生じる可能性もゼロではありません。服用後に皮膚に発疹が生じたり、急激な体調の変化が起きたりした場合には、すぐに医療機関を受診してください。

お薬に関するご相談はアイセイ薬局まで

宇喜多さん
宇喜多さん

葛根湯がいまの自分の症状の出方に対して合っているのか、もっと合う漢方薬があるのか? など、迷ったときにはぜひお近くのアイセイ薬局までご相談ください。また、アイセイ薬局グループが運営するオンライン漢方相談サービス『わたし漢方』もぜひご活用ください。

アイセイ薬局の漢方サブスク『わたし漢方』とは?

アイセイ薬局は、LINEに特化したオンライン漢方相談サービス『わたし漢方』を展開しています。初回無料の体質チェックを行うと、漢方に精通した薬剤師が現在のお体の状態を確認して、あなたに合った体質改善プランをご提案します。スマホで簡単に、品質にこだわった漢方薬を定額でお受け取りいただけます。詳細は、ぜひ専用ページをご覧ください。

わたし漢方:https://www.watashikampo.com/

CREDIT
取材・文:HELiCO編集部+ノオト イラスト:オリハラケイコ

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