夏場に保育園や幼稚園などで流行しやすい手足口病。その名の通り、手や足、口に発疹ができ、痛みなどの症状を伴う病気です。
基本的には子どもを中心に注意が必要な感染症ですが、稀に大人が感染することもあり、なんとなく怖い病気だと感じる方もいるかもしれません。本記事では、手足口病の症状や経過、家庭での感染対策などについて解説します。
- 教えてくれるのは…
-
- 小谷 和弘先生
- 海老名皮フ科クリニック 理事長・院長
東京医科歯科大学(現:東京科学大学)医学部卒業。日本専門医機構認定皮膚科専門医、厚生労働省指定麻酔科標榜医、日本内科学会認定内科医。麻酔科医として多摩総合医療センターや青梅総合病院などで診療を経験。その後、板橋中央総合病院皮膚科形成外科、はなふさ皮膚科三鷹院などで皮膚科医としての臨床経験を積む。こうしたバックグラウンドを活かし、皮膚科・⽪膚外科の診療はもちろん、アレルギー治療や美容治療なども行っている。
[監修者]小谷 和弘先生:https://ebinahifu.com/hello/
海老名皮フ科クリニック:https://ebinahifu.com/
手足口病とは
手足口病は、免疫力のまだ十分でない乳幼児(特に5歳以下)を中心に、6〜8月頃にかけて流行しやすいウイルス感染症です。主に「エンテロウイルス」が原因で、手や足、口に発疹が生じ、痛みなどを伴います。
エンテロウイルスには「コクサッキーウイルスA16型・A6型」や「エンテロウイルス71型」など複数のタイプがあり、その年や地域によって流行する型が異なります。そのため、一度かかっても、別のタイプのウイルスによって再び感染することがあります。
手足口病は、対症療法によって症状を和らげながら経過をみていきます。「夏風邪の一種」であり、ウイルスそのものを排除する治療法はないため、自然に回復するのを待つことになります。
手足口病は大人にも感染する
大人の多くは、すでに手足口病の原因となるウイルスに感染したことがあるため、大人が発症するケースは稀です。また、感染した場合でも症状は軽く済むことが多いですが、免疫力が低下している場合などには、症状が強く出ることもあるため注意が必要です。基本的には、大人の感染について過度に心配する必要はありません。
手足口病の主な症状
手足口病は、口のなかや手のひら、足の裏などに、2~3mm程度の水ぶくれのような、あるいは赤いぽつぽつとした発疹(ほっしん)といった症状が現れます。感染者のうち3分の1程度に発熱が見られますが、多くの場合は38℃以下で、高熱が続くことはあまりありません。症状は、発症から3~7日程度で自然に治まります。
大人にみられる手足口病の症状
大人が感染した場合に現れる症状は、子どもと大きくは変わりませんが、発疹が強く出てしまい、口内だけでなく、喉にまで痛みを感じたり、足裏の発疹が痛くて歩けなくなるといった場合もあります。
受診の目安
多くの場合1週間ほどで自然に治りますが、手足口病が疑われる場合は、基本的に小児科(大人は内科)を受診してください。皮膚症状が強い場合や診断に迷う場合は、皮膚科も選択肢です。
手足口病の主な感染経路
飛沫感染
感染者の咳やくしゃみ、会話の際に飛び散るしぶき(飛沫)のなかにウイルスが含まれており、それらを吸い込むことで感染します。特に子ども同士は距離が近く、衛生管理への意識も十分でないことから、幼稚園や保育園では集団感染が起こりやすくなります。
接触感染
水ぶくれができた手や、唾液などの分泌物がついた手で触れたおもちゃ、ドアノブ、タオルなどを介してウイルスが広がり、それらに触れた手で口や鼻を触ることで感染します。
糞口感染
便のなかに排出されたウイルスが、トイレやおむつ替えの際などに手に付着し、その手で食事をしたり口に触れたりすることで感染します。手足口病は、症状が治まった後も2〜4週間にわたって便からウイルスが排出されるため、特に注意が必要です。
手足口病が家庭内感染しやすい場面
おむつ替えとトイレの補助
手足口病を発症した子どもの便には、大量のウイルスが含まれています。おむつ替えやトイレの補助をする際に、家庭内感染が広がりやすくなります。
食器・食事のシェア
スプーンやフォークの共有、飲み物の回し飲み、子どもの食べ残しを大人が食べるといった行為は、唾液を介しての家庭内感染につながります。
タオルの共有
洗面所やトイレの手拭きタオル、お風呂上がりのバスタオルなどを家族で共有すると接触感染が起こり、家庭内感染のリスクが高まるため、気をつけましょう。
手足口病の予防方法
手足口病には予防できるワクチンや特効薬はなく、日々の生活のなかで気をつけることが大切です。
予防方法1:こまめな手洗い
外出後、トイレの後、食事の前、おむつ替えの後などに、石鹸と流水でしっかり手を洗うことが最も有効な予防方法です。エンテロウイルスはアルコール消毒の効果が弱いとされており、十分な予防効果は期待できません。ドアノブやおもちゃなどを消毒する場合には、次亜塩素酸ナトリウムを使用してください。
予防方法2:タオルや食器の使い分け
家庭内でのタオルや食器の共有は避けましょう。一人ひとり別のものを使うか、ペーパータオルや使い捨ての食器などを活用することも有効です。
予防方法3:咳エチケット
子どもの年齢にもよりますが、咳やくしゃみが出る場合は、マスクを着用することで飛沫の拡散を防げるため、家庭内感染の予防につながります。
手足口病に関するよくあるご質問
手足口病の潜伏期間はどれくらい?
ウイルスに感染してから症状が出るまでの潜伏期間は、およそ3〜5日程度とされています。保育園などで手足口病が流行している場合は、お子さんの体調変化に注意を払いましょう。
手足口病に感染した場合、保育園や学校、会社は何日休むべき?
手足口病は、インフルエンザのように「発症から◯日」といった出席停止期間が厳密に定められているわけではありません。一般的には「熱が下がってから1日以上が経過し、発疹の痛みがなくなって普段通りの食事が取れる状態」が、登園・登校再開の目安とされています。症状が出てから3〜7日程度で症状が落ち着くことが多いです。
大人も同様に、重症化を避けるため、あるいは職場での感染拡大を防ぐために、発熱や痛みが落ち着くまでは無理をせず、休養を取ることが推奨されています。出勤や登園の判断に迷った場合は、かかりつけの医師や保育園や幼稚園に相談して指示を仰ぎましょう。