気温も上がり、屋外で過ごしやすい季節になったことで、「何か新しいことを始めたい」と感じている人もいるのではないでしょうか。健康のために運動を始めてみようかな、と思ったときにおすすめなのが「ウォーキング」です。
特別な道具もいらず、気軽に始められるのがウォーキングの利点ですが、ただ歩くだけではもったいない。姿勢や歩幅、スピードを少し意識するだけで、ウォーキングはより効果的な“運動”に変わります。
これからウォーキングを始める人も、毎日ウォーキングをしたけれど効果を実感できなかったという人も、血圧改善や睡眠の質アップなど、健康増進につながるウォーキング法を知り、生活に取り入れてみませんか?
- 教えてくれるのは…
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- 能勢 博先生
- 信州大学大学院 医学系研究科 特任教授
京都府立医科大学医学部卒業後、米国イエール大学医学部博士研究員、京都府立医科大学助教授、信州大学学術院医学系教授などを経て、現職。「インターバル速歩」を提唱し、約20年にわたり多くの人々に運動指導を行っている。著書に『最高の歩き方 やせる!若返る!疲れにくくなる』(世界文化社)など。
[監修者]能勢 博先生:https://soar-rd.shinshu-u.ac.jp/search/detail.html?systemId=HUyVuUkh
信州大学:https://www.shinshu-u.ac.jp/
筋力と持久力を同時につけられるインターバル速歩
ウォーキングは健康維持に効果的だといわれていますが、なにも意識せずに歩いてしまうと運動強度が足りず、筋力や持久力は向上しません。そこでおすすめしたいのが、「インターバル速歩」です。
インターバル速歩は、「早歩き3分+ゆっくり歩き3分」を交互に繰り返すウォーキング法。これを週に120分を目安に行います。毎日少しずつ歩く、休日にまとめて歩くなど、継続しやすい方法でかまいません。早歩きは、2分以上歩いて息が上がるくらいの「ややきつい」と感じる強度で行ってください。
一般的に、筋力をつけるには無酸素運動、持久力をつけるには有酸素運動といわれています。インターバル速歩で行う早歩きは、スクワットのような無酸素運動に似た筋肉の働きをするため、筋力と持久力を同時につけられます。科学的根拠に基づいて提唱されたインターバル速歩は、1万人以上を対象とした研究でその健康効果が実証されています。
インターバル速歩を続けるとどんな効果がある?
インターバル速歩の効果を感じるタイミングは人によって異なりますが、おおよその目安は以下の通りです。
1日目
インターバル速歩を30分行うと、運動後に体(特に下半身)がポカポカと温かくなるのを感じます。これは、ややきついと感じる強度で歩いた後、体が消費したエネルギー源を回復しようとして代謝が上がっているためです。血圧も一時的に下がり、体全体がリラックスした状態になります。
1週間~
徐々に、汗をかきやすい体に変わり始めます。体温調節機能が上がり、夏は涼しく感じやすく、冬は体が温かく感じやすくなります。
2週間~
「なんだか体の調子が良いな」と感じ始める方が増えます。体重が減り始めたり、むくみが取れ始めたりするのも、大体このタイミングです。精神的な余裕が生まれ、ストレスが軽減したと感じる方も。
1か月
姿勢が良くなる、よく眠れるようになる、歩くのが楽になるといった変化が現れます。
2か月
体が軽く感じ、疲れにくくなったと実感します。
3か月
体力がつくことで免疫力が高まり、風邪をひきにくくなります。また、関節の痛みが取れてきたり、気持ちが沈む日が減ったりしてきます。
4か月
代謝の改善やホルモン分泌量の変化などにより、肌にハリとツヤが出てきます。また、脚のラインやお尻周りが引き締まったと実感する方もいます。
5か月
始める前と比べて、筋力が10%程度向上するほか、持久力も上がったと感じます。また、血圧や血糖、肥満は20%ほどの改善が見込めます。
インターバル速歩の基本姿勢・歩くときのポイント
さまざまなうれしい効果が期待できるインターバル速歩。実際のやり方について解説します。
基本ルール
- 「早歩き3分、ゆっくり歩き3分」を交互に繰り返す
- 週に120分を目安(早歩き60分、ゆっくり歩き60分)
- 早歩きは、少し息が上がるくらいの「ややきつい」スピードで歩く
基本姿勢を覚えよう
インターバル速歩は正しい姿勢で行うことで、より効果が期待できます。
POINT1:姿勢を正す
タオルを両手で握って、バンザイの姿勢から、そのままゆっくりタオルを頭の後ろに下ろします。そのときの胸を張った姿勢が正しいフォームです。頭が上から引っ張られているようなイメージで背筋をまっすぐ伸ばします。反り腰や猫背にならないように注意しましょう。
POINT2:大股でかかとから着地する
男性はいつもより5cm、女性は3cmを目安に大股で歩きます。かかとから着地することを意識しながら、着地と同時に後ろ足の指でしっかりと地面を蹴り出しましょう。後ろ足で蹴ることで重心が前にスムーズに移動し、自然と大股歩きになります。
POINT3:腕を大きく振る
肘を約90度に曲げ、腕を前後に大きく振ります。腕を振ることで腰のぐらつきを抑えられ、大股での歩行が安定します。腕振りと足の動きを連動させることが、効率よく歩くための重要なポイントです。目線は25m先を見ると、姿勢を保ちやすくなります。
続けることが最大のポイント!継続のコツとは?
インターバル速歩は短期間でも効果が見込めますが、継続することでさらなる健康につながります。継続のためのコツを3つ紹介します。
自己比較をしよう
成長を実感できると、モチベーションがアップして継続しやすくなります。たとえば、毎回同じコースを歩く人は、インターバル速歩で歩き終わるまでのタイムを記録してみましょう。コースを1周するスピードがだんだんと速くなっていくはずです。あるいは、1セットで歩ける距離を記録すると、徐々に距離が伸びていくでしょう。インターバル速歩の成果を記録することで頑張りが可視化され、自分自身の体力の向上などの実感につながります。
ライバルや仲間をつくろう
自己比較のほか、家族や友人などと競ったり、共通の目標をもって歩くことで向上心が生まれ、互いに切磋琢磨するようになります。大体自分と同じ、もしくは少し上くらいの体力(記録)の人をライバルにしてみましょう。必ずしも一緒に歩く必要はないため、SNSなど遠隔のコミュニティも活用しながら仲間を探してみるのもおすすめです。
インターバル速歩にまつわるQ&A
インターバル速歩の基本的なやり方を紹介しましたが、さらに効果を高める方法やよくある疑問点をQ&A方式で解説します。
Q:トレッドミル(ランニングマシン)でやってもいいの?
Q:準備運動は必要?
Q:運動後に食べたほうがよいものはある?
Q:夏に行う場合の注意点はある?
Q:あると良いアイテムは?
とにかく気軽に始めてみよう
インターバル速歩は、体力に自信がない人や忙しい人でも自分のペースで気軽に始められる点が魅力です。継続することで、筋力や体力の向上、血圧や血糖、肥満の改善などの効果が見込めるのもうれしいポイント。まずは1日だけでも実践して、体に起こる変化を実感してみてはいかがでしょうか。