東洋医学では、季節ごとに「体に悪い影響を与えるもの＝邪気（じゃき）」が存在するという考えがあります。冬の邪気は『寒邪（かんじゃ）』といい、冷えを感じやすいこの時期に保温や防寒が足りないと、心身に不調が生じるとされています。また、冬は尿や汗といった体内の水分の動きに影響を与える『腎（じん）』が弱るとも。

元気に冬を乗り切るためには、腎の働きを補う食材を上手に摂ることが大切です。スーパーで手に入る身近な食材を使った、「おうち薬膳」レシピを料理家・齋藤菜々子さんに教えていただきました。

教えてくれるのは・・・

齋藤菜々子さん

料理家・国際中医薬膳師

「今日からできるおうち薬膳」をモットーに、身近な食材のみを使ったつくりやすいレシピにこだわり、家庭で毎日実践できる薬膳を提案している。著書に、『体にいい食材帳』『基本調味料で作る体にいいスープ』（以上、主婦と生活社）などがある。

齋藤さん

鶏肉は、韓国料理のタッカンマリや参鶏湯（サムゲタン）などでもよく使われる、体を温める食材の代表格。体が温まれば、水分や血液の巡りも良くなります。一方、ピリッと辛く、じわっと汗をかき、体を芯から温めてくれるのがニラ。『腎』は冷えると過活動になって負担がかかり働きが低下するので、とにかく体を冷やさないことが大切です。

齋藤さん

鶏肉は切らずに一枚をそのまま蒸すことで、ジューシーに仕上がります。また、野菜を下に敷くことで鶏肉への火のあたりが優しくなり、ふっくらと蒸しあがりますよ。

齋藤さん

体液をつくるとされる豚肉は、秋冬の乾燥対策にもピッタリ。弱った体のエネルギーチャージや美肌づくり、エイジングケアを意識されている人はぜひ召し上がってください。

齋藤さん

キャベツ、まいたけ、豚肉は、焼き色をつけると香りや旨味が増してグッとおいしくなる食材。ここでしっかり焼いておくと、調味料をたくさん使わなくても、十分食べごたえのある仕上がりに。減塩するときのコツです。

齋藤さん

「だし汁」はかつおと昆布の合わせだしを使いました。市販の顆粒だしには塩分が入っているので、使う場合にはしょうゆの量を少なめに。「酢」は、穀物酢や米酢など、お好みの酢でどうぞ。

齋藤さん

腎が弱ると、耳や膝、腰、髪、肌などに老化のサインが現れ始めます。くるみは腎を養生して元気にするといわれており、なおかつ含まれる油脂でお通じも整えてくれる優れものです。

齋藤さん

みそはだし入りではなく、無添加のものがおすすめ。白みそで甘さが添加されているものを使う場合は、みりんの量を減らしてください。くるみみその状態で7日ほど冷蔵室保存できます。ストックしておいて、野菜炒めや肉料理に合わせてもおいしいですよ。