薬の種類が多くなると、「飲み忘れそう」「管理が大変」と感じることはありませんか。そんなときに役立つのが「薬の一包化」。服用のタイミングごとに、複数の薬を1袋にまとめることで、服薬管理をサポートするサービスです。今回は、一包化のしくみやメリット、利用時の注意点について薬剤師が解説します。
- 教えてくれるのは…
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- 神田 千尋さん
- アイセイ薬局 在宅推進部
薬学部の実務実習先での出会いをきっかけにアイセイ薬局に就職し、調剤業務や在宅医療などを経験。現在はアイセイ薬局の在宅推進部に所属し、現場に根ざした実践を重ねながら薬局薬剤師としての役割やあるべき姿を、具現化していく取り組みに挑戦し続けている。
「薬の一包化」とは、薬を1回の服用分ずつ1袋にまとめること
一包化は、同じタイミングで服用する複数の薬を、1回分ずつ1つの袋にまとめる方法です。たとえば、「朝食後に飲む薬」「寝る前に飲む薬」などを、服用するタイミングごとにまとめることで、薬を1つずつPTPシート(錠剤やカプセルを包んでいるシート)から取り出す手間が減り、飲み忘れや飲み間違いの防止につながります。薬の種類や服用回数が多い人をはじめ、薬の管理に不安がある人や、その家族の負担軽減にも役立ちます。
一包化の流れ(依頼方法)
一包化を希望する場合は、まずは薬局の薬剤師に相談してみましょう。医療機関で医師に相談することもできますが、処方箋に一包化の指示がない場合でも、薬局から医師に確認したうえで対応してもらえるケースがあります。また、処方箋がない場合でも、手持ちの薬を薬局に持参して相談することで、一包化してもらえる場合があります。
一包化の4つのメリットって何?
1服薬管理の煩雑さがなくなる
一包化の最大のメリットは、服薬管理をしやすくなることです。服用するタイミングごとに薬が1つの袋にまとまっているため、何種類もの薬を一つひとつPTPシートから取り出す手間がなくなり、飲み忘れや飲み間違いの予防につながります。
一包化の袋には「朝食後」「寝る前」などのタイミングや日付を印刷できるため、いつ飲む薬なのかが一目でわかります。実際に一包化サービスを利用している方からは、「薬をきちんと飲めるようになった」「親が薬を飲んでいるか確認しやすくなった」という声も多く、服薬を続けるためのサポートにつながっています。
2複数の病院から処方された薬をまとめられる
たとえば、消化器病院、循環器クリニックなど、複数の医療機関から別々に処方された薬を服用している場合でも、飲むタイミングが同じ薬であれば一包化できるケースがあります。別の医療機関の薬をまとめる際に、患者自身が医師に許可を取る必要はなく、薬局の薬剤師がそれぞれの担当医に連絡し、医師の了承を得たうえで一包化します。
3PTPシートの誤飲リスクを低減できる
一包化には、PTPシートの誤飲リスクを減らせるメリットもあります。PTPシートを1錠ずつ切り離して使用している方も多く、薬と一緒にシートを誤って飲み込んでしまう事故が報告されています。一包化であればPTPシートから薬を取り出す必要がないため、誤飲リスクの軽減につながります。
4手先が不自由な人、視覚障害のある人が薬を取り出しやすくなる
手先の力が弱い人や指先を細かく動かしにくい人、視覚障害のある人にとっても、一包化は服薬をサポートする方法の一つです。PTPシートから薬を取り出す必要がなくなるため、服薬時の負担を軽減できます。また、薬局によっては、一包化した袋に点字シールを付けるなど、視覚障害のある人が薬を識別しやすくするための対応をしている場合もあります。さらに、一剤だけでも一包化できる場合があり、一人ひとりの状態や生活に合わせた服薬支援につながります。必要に応じて、薬局で利用できる服薬支援について相談してみるとよいでしょう。
知っておきたい!一包化にあたっての注意点
一包化は便利なサービスですが、利用する際に知っておきたい注意点があります。
1一包化は医師の許可が必要
一包化を行うには、医師の許可が必要です。まずは薬局の薬剤師に相談してみましょう。薬局から医師に確認したうえで、対応してもらえるケースがあります。また、あらかじめ医療機関を受診した際に医師へ相談し、処方箋に「一包化」の指示が記載されていれば、よりスムーズに対応してもらえます。
2処方薬を受け取るまでに時間がかかる
一包化は薬剤師が医師に確認をとったり、専用の機械で薬をまとめたりする作業に時間がかかります。薬局の混雑状況によっては、通常より待ち時間が長くなることがあるため、時間に余裕を持って利用すると安心です。
3費用がかかる
一包化には、通常の調剤費用のほかに、追加費用がかかります。これは、「外来服薬支援料」などの加算によるものです。一包化する薬の種類や日数、健康保険の自己負担割合などによって費用は異なり、患者さまの自己負担額は数百円程度が目安です。
一包化費用の例(1割負担の場合)
- 2週間分の一包化:患者負担は約100〜200円程度
- 1か月分の一包化:患者負担は約200〜300円程度
4一包化できない薬もある
すべての薬を一包化できるわけではありません。湿気に弱い薬はシートのままお渡ししたり、一緒に包装すると品質に影響が出る薬などは別々に一包化したりします。
一人ひとりに合わせた一包化 〜アイセイ薬局の事例~
患者さまごとに、薬の飲み方や困りごとはさまざまです。アイセイ薬局では、一包化を単に薬をまとめるサービスではなく、一人ひとりが無理なく服薬を続けられるようサポートする仕組みとして提供しています。
一包化はどうやっているの?
一包化は、専用の機械(分包機)を使って行います。ここでは、アイセイ薬局での一包化作業の一部を紹介します。
1錠剤をPTPシートから取り出す
錠剤には手を触れないように、器具を使って1錠ずつ取り出します。
2取り出した錠剤を振り分ける
薬ごとの用法・用量に従って錠剤をピンセットで1つずつマスに撒いていきます。
31回分の薬が1袋にまとめられる
一包化の袋には、患者さまのお名前や飲むタイミングなどが印刷されて出てきます。
薬の種類や患者さまの状態に応じて、一包化の方法を工夫することもあります。必ずしも毎日飲まなくてよい薬や調節する薬(例:便秘の時だけ服用する薬)などを別に包装したり、同じ服用タイミングの漢方などを一緒にまとめたりしています。また、錠剤が飲み込みにくい人に対しては、粉薬・粉砕への変更や、お湯で溶ける錠剤への変更を提案したりするなど、安全に服薬できるよう配慮しています。
一包化した袋の下に、同じタイミングで服用する漢方を重ねてまとめることも可能です
一包化に関するよくある質問
Q.一包化の袋には何が書かれていますか?
Q.一包化したあと、薬が変更になった場合はどうすればいい?
Q.薬と一緒にサプリメントも一包化してもらえますか?
薬剤師に気軽に相談を
薬の管理に不安を感じたら、一人で抱え込まず、まずはかかりつけの薬局や薬剤師に相談してみませんか。一包化をはじめ、一人ひとりに合った方法を薬剤師がご提案します。
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