胃腸炎が治ったサインとは?医師が教える療養の注意点と感染対策

胃腸炎が治ったサインとは?医師が教える療養の注意点と感染対策

突然の下痢や嘔吐、腹痛に悩まされる「胃腸炎」。つらい症状が落ち着いてきても、「もう治ったのかな?」「周りの人にうつさないか心配……」「いつからいつも通りの食事をして良いのだろう」などと悩む方も多いのではないでしょうか。

本記事では、胃腸炎の原因や種類のほか、「治った」と判断できるサインや、療養中に気をつけたいポイントを詳しく解説します。

教えてくれるのは…
向坂 健秀先生
向坂 健秀先生
消化器内科/向坂内科クリニック 副院長

日本消化器病学会 専門医、日本消化器内視鏡学会 専門医など。2013年に岩手医科大学を卒業。久留米大学消化器内科の助教と向坂内科クリニックの副院長を務める。
 
[監修者] 向坂健秀先生:https://research.kurume-u.ac.jp/kurume/detail.html?systemId=2f546adb075ae698
久留米大学HP:https://www.kurume-u.ac.jp/
向坂内科クリニック:https://www.sakisaka-naikacl.com/

胃腸炎の原因と主な症状

胃腸炎とは、何らかの原因によって胃や腸の粘膜に炎症が起こった状態です。下痢や腹痛、嘔吐などの症状を引き起こします。

胃腸炎は原因によって大きく感染性と非感染性に分けられ、感染性の胃腸炎にはウイルス性胃腸炎や細菌性胃腸炎、寄生虫による胃腸炎が含まれます。一方、非感染性の胃腸炎には、薬剤による胃腸炎や炎症性腸疾患、過敏性腸症候群などがあります。

ここでは、感染性の胃腸炎を中心に解説します。

ウイルス性胃腸炎

「はきくだし」や「嘔吐下痢症」とも呼ばれるウイルス性胃腸炎は、水のような下痢や突然の嘔吐のほか、軽度の発熱(38℃未満)が症状としてよく見られます。11月〜3月ごろ、冬場に流行る傾向があります。

ノロウイルス

  • 感染経路/感染源:生もしくは加熱が不十分な二枚貝(牡蠣など)が有名
  • 症状が続く期間:1~2日程度

ロタウイルス

  • 感染経路/感染源:糞口感染(便中に排出されたウイルスが口に入って感染する)が主だが、感染者が触れたものに間接的に触れて感染することもある
  • 症状が続く期間:4~7日程度
  • 特記:乳幼児期によく見られる、重症化を防ぐワクチンあり、白っぽい便が出る

細菌性胃腸炎

細菌性胃腸炎は、食べ物や水を介して感染することが多く、夏場に増える傾向があります。細菌の種類によっては血便を伴うことも。予防対策としては、食品をしっかり加熱調理すること、室温で長期間放置しないこと、まな板や包丁、手指をしっかり洗うことが大切です。

黄色ブドウ球菌など(毒素型)

  • 感染経路/感染源:おにぎりやお寿司、お弁当など
  • 症状が続く期間:1日程度

腸炎ビブリオ(感染型)

  • 感染経路/感染源:魚介類の生食
  • 症状が続く期間:2~3日程度

O157などの腸管出血性大腸菌(感染型)

  • 感染経路/感染源:牛肉や生野菜
  • 症状が続く期間:軽症なら1~3日程度

サルモネラ(感染型)

  • 感染経路/感染源:生卵や鶏肉
  • 症状が続く期間:1週間以内

カンピロバクター(感染型)

  • 感染経路/感染源:鶏肉
  • 症状が続く期間:1~2週間程度

寄生虫性胃腸炎

寄生虫が体内に侵入し、胃腸の粘膜に炎症を引き起こします。特に多いのは、アニサキスによるもので、みぞおちや下腹部の激しい痛みが生じることがあります。これは、アニサキスに対するアレルギー反応による胃腸の炎症が原因です。

アニサキス

  • 感染経路/感染源:サバやアジ、サンマ、カツオ、イワシなどの魚介類
  • 症状が続く期間:3~4日程度

胃腸炎が「治った」と判断できるサイン

胃腸炎が治ったサイン4つ

治ったサイン1:症状の消失

いつも通り食事をしても、吐き気や嘔吐、腹痛がないことが、胃腸炎が治ったサインになります。また、発熱していた場合は、解熱しているかどうかもポイントです。胃の不快感やむかつきも、少しずつ治まっていきます。

治ったサイン2:食欲の回復

胃腸炎のときには、空腹を感じなかったり、食べ物のにおいに対して嫌悪感を抱いたりすることがあります。そうした症状がなくなってきたら、胃腸炎が治ったサインといえます。

ただし、治りたての場合は、消化吸収しやすい食事を選ぶようにしましょう。胃腸炎の症状があるときや治りたてのときの食事の内容については後述します。

治ったサイン3:排便の正常化

排便回数や便の硬さも、胃腸炎が治ったかどうかを確かめるポイントです。排便回数が1日1~2回程度、普段通りの固さの便が出ていれば、胃腸炎が治ったと考えられます。

また、ロタウイルス感染の場合は便が白っぽくなることがあるため、便の色が茶色に戻ることも治ってきたサインといえます。排便時は便の状態をチェックしてみましょう。

治ったサイン4:おならの臭いの変化

胃腸炎の感染時は腸内環境が乱れ、悪玉菌が増加するため、おならが強烈に臭くなります。治ったら臭いは落ち着くので、おならも自身の体の変化を知る指標であると意識してみてください。

仕事や学校はどれくらい休むべき?

感染性の胃腸炎は、他者との接触に気をつけないと人にうつる可能性があります。

少なくとも、吐き気や嘔吐、腹痛、下痢などの症状が続いている間は他人に感染させることがあるため、仕事や学校などは休むようにしましょう。復帰のタイミングは、症状が改善してからです。

なお、子どもの場合、自治体によっては、保育園・幼稚園・学校などに復帰する際、登園(登校)許可証が必要になることがあります。社会人の場合、法律上の出勤停止日数は定められていませんが、就業規則に日数が定められていることがあるので、まずはそれを確認しましょう。

特にノロウイルスは、下痢などの症状がなくなっても、通常では1週間程度、長いときには1か月程度ウイルスの排泄が続くことがあるため、食品を取り扱う仕事をしている場合は、症状が改善した後も、しばらくは直接食品を取り扱う作業をしないことが望ましいです。

食事はどうする?いつから、何を食べるのが安全?

感染性の胃腸炎になった場合は、無理に食事を摂る必要はありません。ただし、脱水しないよう水分補給はきちんとしましょう。その際、水だけでは体内の水分に含まれるナトリウムやカリウムなどのバランスが崩れてしまうため、経口補水液を飲むのが望ましいです。

食事を摂る場合、1回の食事量は控えめに、食材を細かくしたり煮込んでやわらかくしたりすると胃腸への負担を減らせます。おかゆやうどん、スープなどのメニューがおすすめです。

避けるべき食べ物・飲み物はある?

辛い食べ物や脂っこい食べ物、根菜類やきのこなど、食物繊維が多いものは胃腸に負担をかけるので避けましょう。刺身などの生ものも、再度感染してしまう可能性があるので要注意です。

また、アルコールや牛乳、カフェインを多く含む飲料(コーヒー・紅茶・緑茶など)のほか、オレンジやみかんなどの柑橘類は胃酸の分泌を促して吐き気を引き起こす可能性があるので控えましょう。ヨーグルトなどの乳製品も、消化するために胃腸に負担がかかるので、できるだけ避けてください。

胃腸炎の治りかけのときにおすすめの飲食物と避けてほしい飲食物

回復後も、まずは胃腸に優しい食べ物から慣らしていく

基本的には回復段階で再発することは稀ですが、治ったと思ってもまずは胃腸に優しい食べ物から徐々に慣らしていきましょう。

【再発・悪化を防ぐ】胃腸炎回復期に注意すべきポイント

胃腸炎回復期の悪化予防・処理・受診のポイント

手洗い・消毒の徹底/食品の衛生管理

胃腸炎の予防のために、手や調理器具は、調理前にしっかりと洗ってください。また、新鮮な食材をしっかりと加熱することが大切です。目安は、食材の中心温度75℃以上で1分以上の加熱です。食事は長時間常温で放置しないように注意しましょう。

感染者との接触を避ける

子どもが胃腸炎に感染した場合など、嘔吐物や便の処理が必要なときは、必ず手袋やマスクを着用して処理を行ってください。処理に使った道具は密閉して捨て、ドアノブやスイッチなど、手で触れる場所は、次亜塩素酸ナトリウムを使ってふき取り消毒をしましょう。トイレの水を流すときには、蓋をしてから流しましょう。

また、感染者の入浴は同居者のなかで一番後にし、お湯に浸かる前にお尻をしっかりと洗ってください。浴槽のお湯は毎日変え、浴槽・床・洗面器・いすなども洗剤を使用してしっかり掃除をします。体を拭くタオルも共用にしないよう注意してください。

症状の改善が乏しい場合や下血・血便がみられた場合は医療機関に

数日経ってもなかなか胃腸炎の症状が改善しない、あるいは症状がひどく3~4日程食事が摂れない場合は、早めに医療機関を受診しましょう。水分も摂れない場合は、脱水症状の危険があるため、より早めに受診を検討してください。

また、下血や血便があるときも、速やかに医療機関を受診しましょう。胃腸炎以外の病気によって消化器官で出血が起こっている可能性なども考えられます。

胃腸炎に関するよくある質問(Q&A)

Q.胃腸炎は潜伏期間中でも他者にうつりますか?

A.潜伏期間は、症状が出ていなくても病原体が体内で増えている状態です。そのため、潜伏期間中でも胃腸炎が他者にうつることがあります。基本的には飛沫や便、嘔吐物を介して感染します。

Q.胃腸炎を早く治すためにできることはありますか?

A.感染性の胃腸炎の場合、早く治すためには、原因を体外に排出することが必要です。下痢止めを使用すると、原因物質の排出が遅れて症状が長引く可能性があります。基本的には「整腸剤」で腸内環境を整えることが大切です。

Q.衣類や物についたウイルスはどれくらい生きていますか?消毒方法は?

A.胃腸炎の原因となるウイルスの生存期間は、ウイルスの種類や環境によって異なりますが、長いと衣類や物についた状態で8週間ほど生存できるともいわれています。

しかし、衣類にウイルスがついてしまった場合も、基本的には普段通りの洗濯をすればウイルスを除去できます。ただし、衣類を振るとウイルスが飛び散る可能性があるので、洗濯前に衣類を振らないようにしましょう。

CREDIT
取材・文:HELiCO編集部+ノオト イラスト:ミアコ

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