2025.12.05

頓服(とんぷく)とは?正しい意味や使用するタイミング等をわかりやすく解説

頓服(とんぷく)とは?正しい意味や使用するタイミング等をわかりやすく解説

診察時や薬局で薬を受け取る際に、「頓服(とんぷく)」あるいは「頓服薬(とんぷくやく)」といった言葉をしばしば見聞きすることがあります。
頓服は誤解されやすい用語のひとつで、国立国語研究所の調査でも「言葉自体は知っているものの、その意味まで正しく理解している人は半数以下」という結果が出ています。
本記事では、頓服の基本的な意味に加え、実際にどのような症状で処方されるのか等、わかりやすく解説します。
※国立国語研究所 26.頓服(とんぷく) – 「病院の言葉」を分かりやすくする提案

頓服とは

薬の服用方法には、毎食後や就寝前など決まった時間に服用するほか、「症状が出たとき」や「症状が強いとき」に服用する場合があります。

「症状が出たとき」や「症状が強いとき」等に薬を服用することを頓服(とんぷく)、その際に飲む薬を頓服薬(とんぷくやく) と呼びます。
たとえば、発熱が予想されるインフルエンザなどで、「38.5℃以上の熱が出たら服用してください」という指示とともに処方される解熱剤は、頓服薬の代表例です。
なお、頓服薬は症状がないときに無理に飲む必要はありません。

頓服薬はどのような症状で処方される?

頓服薬はつらい症状を一時的に和らげる対症療法として用いられることが多く、比較的速く効果が期待できる薬が処方されますが、薬の種類によって作用発現のスピードには違いがあります。

【頓服として使用されることが多い薬(例)】

・発熱時:熱冷まし(解熱剤)
・痛み(頭痛、腹痛、歯痛など)が強い時:痛み止め(鎮痛薬)
・眠れない時:睡眠剤
・吐き気がある時:吐き気止め(制吐剤)
・便秘の時:便秘薬(緩下剤)
・喘息の発作時:発作治療薬
・不整脈の発作時:抗不整脈薬

頓服薬は定期的に服用する薬と一緒に処方されることが少なくありません。正しく服用いただけるように、薬局では薬袋(やくたい)を分け、頓服薬の袋に「疼痛時」や「発熱時」といった服用をするタイミングを明記した上で、お渡しするようにしています。
また、症状が出たらすぐに服用できるように、【頓服薬の置き場所を決めておく】、【外出時の携帯用に小分けする】等しておくと安心です。

アイセイ薬局
薬剤師

通常、薬は医師の指示通りに服用すればよいのですが、頓服薬は、症状の判断や実際に薬を使うかどうか、患者さまご自身の判断に委ねられます。
症状が出たときに適切な判断ができるように、「どんなときに使うのか」「次の服用までどのくらい時間を空ければよいのか」などを、理解しておくことが大切です。服用する場面や服用間隔は年齢や病状等によって異なるため、医師や薬剤師の説明を聞いたうえで、分からない場合は質問しましょう。
特に狭心症や喘息などの発作時に用いる頓服薬は、痛み止めなどと違って、特殊な使い方をするものが少なくありません。
発作が起こると患者さまご自身は苦しく、慌ててしまう場合もあるため、周囲のご家族なども使い方を理解しておくと安心です。

よくある質問

Q:以前処方された頓服薬が残っています。同じような症状が出たときに飲んでもいいですか?

A:原則として、治療が終了し、残った頓服薬は自己判断で服用することは避けましょう。
以前と同じような症状でも、原因が異なっている可能性があります。また、薬には使用期限があり、期限を過ぎたものは品質が変化して効果が弱くなったり、副作用のリスクが高まったりすることがあります。

関連コラム:残った薬は使える?市販薬と処方薬の使用期限

Q:頓服薬として処方された鎮痛薬を飲みましたが、あまり効果を感じられません。もう1錠飲み足してもいいでしょうか。

A:年齢や症状、薬の種類等によって服用間隔(次に飲むまでにどのくらい時間を空けなければならないか)は異なるため、診察時や薬を受け取る際、医師や薬剤師に服用間隔を確認しておくとよいでしょう。

用法・用量通りに服用しても、効果が感じられず、次の服用まで時間がある場合などは、ご自身の判断で続けての服用は避け、医師または薬剤師に相談してください。

Q:頓服薬として処方された解熱剤の「熱があるときに服用」とは、何℃ぐらいを指すのですか?

A:日本の感染症法では、37.5℃以上を発熱、高熱は 38℃以上と定義されていますが、その体温以上にならなければ飲んではいけないということではありません。発熱に対する体の反応は人によって異なります。医師から具体的に「○○℃以上の際に服用」と指示がある場合は指示に基づき服用し、指示がない場合では前述の体温はあくまで目安として考え、つらい場合に服用しましょう。
また、発熱は体の防御反応のひとつでもあるため、むやみに解熱するよりも、体温の数値と“そのときのつらさ”の両方を見て判断することが大切です。

正しく使えば心強い味方となる頓服薬ですが、間違った使い方をすると効果が得られなかったり、思わぬ副作用が出てしまったりする可能性があります。
頓服薬は医師の指示に沿って「自身で判断し、使用する薬」であるため、患者さまご自身が症状や薬に対する理解を高めることが求められます。
不安なことや疑問点があれば、遠慮することなく医師や薬剤師に相談し、より安全に、そして安心して服用していきましょう。

【アイセイ薬局グループではお薬に関するご質問、ご相談にお応えします】

薬のことはもちろん、生活習慣のこと、食事・栄養のこと、介護のことなど、健康にまつわるさまざまなご相談にお応えします。お気軽にご相談ください。

この記事をシェアする

クリップボードに
記事のタイトルとURLをコピーしました。