錦糸町北口店スタッフ(一番右が山田店長)
高齢化が進む中、自宅など住み慣れた環境での療養を希望される患者さまも増え、医療・介護関係者は職種を超えた連携が求められています。このような中、アイセイ薬局グループでも地域の在宅医療の一端を担うべく、個人在宅や施設在宅の対応、往診同行やカンファレンスへの参加、終末期医療など、多職種と連携したさまざまな取り組みを推進しています。チーム医療の中で薬剤師が担う役割は処方せんに基づいた調剤・薬のお届けだけでなく、患者さまの状況・状態に合わせた服薬や薬の管理のサポート、副作用や飲み合わせ等の確認、医師への処方提案など多岐にわたります。
今回は、在宅対応に積極的に取り組むアイセイ薬局 錦糸町北口店をご紹介します。薬剤師で店長の山田和正(やまだかずまさ)に話を聞きました。
現在対応しているのは、グループホーム10施設と個人の患者さま14名です。ご高齢になるとたくさんの種類の薬を服用されている方も多いため、飲み忘れや飲みまちがいなどがないように1回分を一包化したうえで、施設にはそれぞれの環境・運用に合わせて、お薬カレンダーや配薬カート用のカセットにセットしてお届けしています。
一包化したうえでお薬カレンダーにセット
訪問時には患者さまとコミュニケーションをとりながら体調、服薬状況や薬の効果等を確認します。しっかり服薬できているか確認・フォローするのも薬剤師の役割です。飲めていない場合には医師にも報告し、少しでも飲みやすいように、また、確実に服薬できるように、剤形(お薬のカタチ)や服用時間・回数の異なる薬への変更などを提案することもあります。在宅医療では医師が総合的な診療を行うため、薬剤師も総合的に対応できるようにさまざまなことに精通している必要があり、勉強も欠かせません。薬のプロとして経験・知見を蓄積しながら、医師からの相談にもすぐに応じて結果が出せるように努めています。医師の往診にも月1回のペースで同行し、安心安全に効果的な薬物治療を続けていただけるように、施設・患者さまごとにきめ細かな対応を心掛けています。
新たに施設に入居される患者さまについては、持参薬チェックも行います。飲めずに残ってしまっている薬を整理して、患者さま・ご家族、施設、主治医等と相談しながら調整。様子を見ながら妥当性を確認し、不要な薬があれば減薬提案をすることもあります。
施設に入居されている方の日々の服薬管理では施設スタッフの方との連携も重要になるため、各施設の担当薬剤師を決めて、多職種連携用ICTツールも活用しながら情報交換を積極的に行っています。施設スタッフの方からは「錠剤が飲みにくそうなので粉砕しても問題ないか?」といったご相談をいただくことが多いです。
個人の患者さまは追加薬が発生したり急な対応も多いので、どんなときでもフォローできるように薬剤師2人体制をとっています。終末期患者さまの疼痛緩和のための医療用麻薬や無菌調剤のニーズにも対応できるように備えています。
日々の業務の中で大切にしているのは、患者さまの立場に立って考え、寄り添って解決することです。在宅の場合、患者さまの生活の中に入ることになり、お話しする時間も長くなります。共通の話題を見つけながらコミュニケーションを深め、患者さまの価値観や生活環境を理解した上でサポートできるようにと考えています。独居の患者さまのお宅に定期配薬でうかがった際に「再来週来るから元気にしていてね」などとお声掛けすると、「久しぶりにそんな言葉を掛けてもらった…」と涙されることもありました。薬のこと、体調変化・健康面のことはもちろんですが、精神的なサポートもできればと思っています。
一包化監査支援システム
●POINT
より細やかな患者ケアに力を入れられるよう、同店では一包化監査支援システムを導入。機械化により作業の効率化を図り、薬剤師が最終的な監査を行うことで正確性・安全性が高まる。
カセットにセットした薬も丁寧に監査
今後、超高齢社会はますます進み、在宅医療を希望する方もさらに増えることが予想されます。地域の皆さまのニーズにしっかり応えられるように、困っている方がいたらじっくりと向き合い、柔軟に対応していけるように、ノウハウを蓄積し若手の育成にも力を入れていきたいと思います。