2025.12.23

税負担を軽減!「セルフメディケーション税制」とは?

税負担を軽減!「セルフメディケーション税制」とは?

「セルフメディケーション税制」という言葉を耳にしたことはありませんか?
医療費控除の特例として設けられた、税負担を軽減するお得な制度ですが、まだ十分に知られていない制度です。
本記事では、セルフメディケーション税制をより多くの方が活用できるよう、この制度の仕組みや利用方法、どの程度の節税ができるのかなど、詳しく解説します。

セルフメディケーション税制とは?

一人ひとりが自身の健康に責任を持ち、軽度な体調不良や病気の予防に対して、できるだけ自分で健康管理を行う「セルフメディケーション」。

こうした取り組みを経済的に後押しする仕組みを「セルフメディケーション税制」と呼び、多くの人が利用している「医療費控除」の特例として、2017年から運用が始まりました。
※制度導入時は2021年までの時限措置でしたが、5年間延長され、2026年12月31日まで適用されます。

セルフメディケーション税制は、1年(1~12月)のうちに、対象となるOTC医薬品(要指導医薬品、一般用医薬品)*の購入金額が税込12,000円以上の場合、12,000円を超えた金額が所得控除(控除額上限は88,000円)の対象となります。
*OTC医薬品の詳しい解説はこちら

確定申告をすることで所得税の一部が還付されるほか、所得を基準に算出される翌年度の住民税の負担も軽くなるといったメリットがあります。

セルフメディケーション税制を利用できる条件

以下の条件を満たしている場合、セルフメディケーション税制を利用することが可能です。

① 所得税、住民税を納めている。
② 対象となるOTC医薬品の年間購入額が税込12,000円を超えている。
③ 健康の維持増進や疾病予防のため、申告対象の1年間に「特定健康診査(メタボ健診)」「予防接種」「定期健康診断(事業主健診)」「健康診査」「がん検診」のいずれかを受けている。*
*証明する書類(結果通知書や領収書など)を申告時に提出する必要があります。
④ 現行の医療費控除を受けていない。
(医療費控除とセルフメディケーション税制は併用不可)

対象となるOTC医薬品は?

セルフメディケーション税制の対象となるOTC医薬品は、当初は医療用から転用された医薬品として厚生労働省が指定した「スイッチOTC医薬品」に限られていました。しかし2022年以降は「スイッチOTC医薬品以外」も認められるようになり、風邪の諸症状、アレルギーの諸症状、腰痛・関節痛・肩こりの貼付薬など、日常でよく利用される薬の多くが対象になっています。

厚生労働省のウェブサイトに販売名などが掲載されているため、対象の商品をチェックしてみましょう。
「セルフメディケーション税制」対象品目一覧はこちら(厚生労働省)

セルフメディケーション税制 共通識別マーク

なお、対象となる医薬品は、パッケージや購入時のレシートで判別が可能です。
一部商品のパッケージには、「セルフメディケーション税控除対象」の共通識別マークがついています。

レシートの印字例

また、共通識別マークがついていなくても、レシートの商品名横に「☆*」などのマークがついていれば、対象となります。
*店舗によっては☆以外の印で表示される場合もあります。
購入した商品が対象かどうかわからない場合は、薬局薬剤師にお尋ねください。

どのように申告すればよい?

セルフメディケーション税制を利用して所得控除を受けるには、ご自身で確定申告を行う必要があります。給与所得のある方は勤務先で年末調整を行っていますが、セルフメディケーション税制は年末調整の対象外のため、税務署もしくは自宅のパソコンやスマホから申告書を作成できる国税庁ホームページ「確定申告書等作成コーナー」で確定申告を行ってください。
※マイナンバーカードを使った e-Tax(電子申告)では、一部書類の提出が省略される場合があります。
確定申告の詳しい方法は、国税庁ホームページをご覧ください。

どれくらい節税できる?

例えば、対象OTC医薬品を年間で30,000円購入した場合、下限額の12,000円を引いた18,000円が控除額です。
課税所得が400万円であれば、所得税は3,600円(控除額18,000円×所得税率20%= 3,600円)、個人住民税は1,800円(控除額18,000円×個人住民税率10%=1,800円)減額されます。
所得税の減額分(3,600円)と住民税の減額分(1,800円)の合計で、節税額は5,400円となります。

税率は年収などによって異なります。ご自身の減税額はこちらからシミュレーションすることができます。

よくある質問

Q. 医療費控除との併用は可能ですか?

A. 併用はできません。医療費控除とセルフメディケーション税制の控除額を計算して、控除額がより大きいほうを選択しましょう。

Q. セルフメディケーション税制対象品目の医薬品であれば、店頭ではなくインターネット通販で購入した商品でも控除の申告ができますか?

A. 申告可能です。セルフメディケーション税制の対象である旨が記載された領収書を保管しておきましょう。

Q. セルフメディケーションの取り組みに相当する健康診断や予防接種の費用も控除できますか?

A. できません。控除できるのはあくまで対象OTC医薬品の購入費用に限られます。

日頃から健康管理を心がけている方にとって、税負担を軽減できるセルフメディケーション税制は大変魅力的な制度です。従来の医療費控除に比べて、より多くの方がこの制度の対象となる可能性があり、節税の恩恵を受けられます。
制度内容をしっかりと理解し、上手に活用しましょう。

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